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東京高等裁判所 昭和48年(ラ)662号 決定 1974年11月11日

抗告人

二宮琢己

債権者城北信用組合、債務者二宮美装株式会社間の千葉地方裁判所昭和四七年(ケ)第四一号不動産任意競売事件について、同裁判所が昭和四七年五月二日なした競売手続開始決定に対し、抗告人から抗告の申立があつたので、当裁判所は、次のとおり決定する。

主文

本件抗告を却下する。

抗告人は金二〇〇〇円を国庫に納付せよ。

理由

競売法による競売手続開始決定は、競売裁判所のなす執行処分であり、執行方法の一つに該当するから、これに対する不服申立は、まず競売裁判所に対し執行方法の異議を申し立て、そのうえで同裁判所の裁判に不服であれば即時抗告をすることができると解するを相当とするところ、抗告人は、千葉地方裁判所が昭和四七年五月二日なした不動産競売手続開始決定(本件記録二八丁)に対し右の執行方法の異議を経由することなく、当裁判所に直接抗告をし(東京高等裁判所昭和四七年(ラ)第一〇〇二号事件)、東京高等裁判所は、右事件につき昭和四八年一月一八日付をもつて抗告却下の決定をしたこと、右事件の抗告人である本件の抗告人は右決定に対し更に特別抗告をしたが、これについては、結局所定の特別抗告理由書提出期間内に抗告理由書を提出しなかつたため抗告却下の決定がなされた(東京高等裁判所昭和四八年(ラク)第三八号)(本件記録一二五丁)ものであること、しかるに、本件抗告人は、その後において、更に、右不動産競売開始決定に対し、重ねて、執行方法の異議を経ることなく、直接抗告をし、その抗告理由は前記東京高等裁判所昭和四七年(ラ)第一〇〇二号事件の抗告理由(本件記録一〇七丁裏)として述べるところと全く同一であることが、記録上明らかである。そうすれば、抗告人の本件抗告は、適法でない不服申立手続を繰返すことにより競売手続を遅延させる目的だけでこれをなしたものと認めるのが相当であつて、右抗告は抗告権を濫用したものといわざるをえず、却下を免れない。よつて、金銭納付につき民訴法四一四条・三八四条ノ二を適用し、主文のとおり決定する。

(満田文彦 鈴木重信 小田原満知子)

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